1997マイベスト3

№1 ロスト・ハイウェイ

リンチの5年振りの新作は、紛れもないリンチらしいふざけた傑作だった。音と映像の使い方は相変わらずのリンチ節で、同じサイコでもリンチにしかできないなあというカットには、思わずにんまりさせられる。さて、この作品の愛すべき点はなんといっても、パトリシア・アークエットの存在だ。「トゥルー・ロマンス」のあの彼女?と思うほど、別人のような演技、存在感。この位の魅力を放出できなければ、この映画は失敗していただろう。内容は、見る人の感性によって自在に変化する作りとなっている。あれこれと展開を考えるもよし、リンチのお遊びに付き合って流して見るもよし。ただ、戦慄を覚える映像のマジックと、ストーリーの自在性が見事にマッチングしており、私にとっては実にシンプルな印象を受けた作品だった。

№2 リディキュール

”エスプリ”と”ユーモア”の違い、というより、18世紀のフランス上流社会でいかに”エスプリ”が重要だったかを知ることができるためになる映画。さらに、作品の出来は、102分という短い作品なのに三時間を超えるような文芸大作の印象を与える完成度を持っている。映像も無難、俳優のバランスも見事。そして、実にコンパクトに収めた脚本をきれいにまとめたパトリス・ルコントの演出に拍手。傑出してはいないものの、「映画」らしい映画を見せてくれた。

№3 エアフォース・ワン

大統領が”英雄”とはなるものの、人間の弱さを見せてもくれる。日本人にはなじまないヒーロー像ではあるが、この作品のハイテンションさは傑出している。もちろん内容的には物足りなさや未熟さはあるものの、荒唐無稽と割り切り楽しめたことは事実で、どうしてもベスト圏内に入れざるを得なかった。ラスト、ハリソン・フォードがほっとして今にも座り込んでしまうような表情を見せる。大統領であると同時に大活躍した英雄の残像の狭間を見事に出している。セリフはない。この作品が娯楽を一貫して追求した姿勢が出た良いラストだった。

ロスト・ハイウェイ
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